突然、呼吸困難になる過換気症候群は、若い人に多い病気です。心理的な原因をチェックするのが解決法です。
■息を吐きすぎて苦しくなる
突然、浅い呼吸を過度に早く繰り返す(過換気、または過呼吸という)ようになったと思ったら、息苦しくなり、顔や手足がしびれたり、めまい、頭痛、不安感など様々な症状が現れた! ところが、このような発作は通常30分前後で自然に消失。念のため、病院で検査しても心臓や呼吸器系の病気はない――こんなことに身に覚えがある方は、一度、心療内科を受診してください。ひょっとしたら過換気(過呼吸)症候群かもしれません。
過換気症候群は呼吸器系の心身症の一つで、不安などの精神的ストレスあるいは痛みなどの身体的ストレスがきっかけで過換気になり、これによって多様な症状が出現した状態をいいます。
20歳代の若い女性によく見られる病気ですが、最近は若い男性にも過換気症候群になる人が増えてきました。
ところで、なぜ過換気になるとこのような発作が出現するのでしょうか。それは、血液のpHが鍵を握っていると考えられています。
私たちの血液は、通常、弱アルカリ性を保っていますが、過換気によって呼気(吐く息)中に炭酸ガスが多量に排出され、血液中の炭酸ガスが少なくなると、血液のpHがアルカリ性に傾きます。
これが、前述のような症状を出現させるのです。また、前述の症状のほかに、まれに全身がけいれんしたり、失神する人もいます。しかし、そうなったとしても、決して命を落とすことはありません。
■紙袋に吐いた息を吸うと発作はおさまる
過換気症候群がやっかいな点は、息切れや息苦しさを感じるために、もっと呼吸をしようとしてしまうことが過換気を増長する、という悪循環に陥ってしまいがちなこと。
しかし、発作中に息をこらえてみたり、ペーパーバック法を行なうと症状は好転してきます。ちなみに、ペーパーバック法とは、呼気を紙袋に入れ、それをもう一度吸い込むというものです。つまり、吐き出した炭酸ガスを再吸収することで血液がアルカリ性に傾いたのを改善しよう、というわけです。
ただし、過換気症候群とよく似た発作が出現する病気はたくさんあります。発作を引き起こした病気によっては対処法が異なるので、気になる点がある人は、まず医療機関を受診し、医師の診断を仰いでください。
なお、過換気症候群の診断は、血液中の酸素と炭酸ガスの量を測定するなど、様々な検査を行なったうえで確定します。過換気症候群と診断された場合、前述のペーパーバック法の指導をはじめ、カウンセリングなどの精神療法、抗うつ薬などを用いた薬物療法を行って治療します。
■自分の内側にも目を向けよう!
過換気症候群になるのは、不安感を持ちやすく、まじめな性格の人が多いといわれます。また、人前で発作が起こるとまわりの人の注意をひくので、心理的にも苦痛です。それが原因となって、「予期不安」という傾向がしばしば現われます。
「予期不安」とは、「また発作に見舞われたらどうしよう」と、先回りして不安になってしまうこと。これが過換気症候群の症状の悪化につながります。でも、「そのときはそのときだ」と腹をくくってみると、不思議に発作も起こりにくくなります。
しかし、最も重要なのは、症状を起こしているストレスをつきとめ、それを解消すること。心のSOSが、身体的な症状となって現れているのですから、この際“心の休養期間”と思い、カウンセリングなどを通じてじっくり自分の内面に目を向けてみましょう。そして、心から笑える、安心できる毎日をめざしましょう。
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