立ち上がるときやしゃがむときなど、膝に負担がかかったときに膝が痛むという人が、中高年には珍しくありません。防ぐ方法はあるのでしょうか?
■軟骨がすり減って骨と骨がぶつかる
膝は、立ったり座ったりするたびに、まっすぐ伸ばしたり深く折り曲げたりするなど、実に激しい動きをする働き者の関節です。じっと立っているだけでも、膝には重い体重がかかっていますが、歩いたり走ったりすると、さらに大きな衝撃が加わります。こうして膝にかかる荷重は、平地を歩いているときは体重の約3倍、走っているときは約10倍、階段の上り下りでは約7倍に上ります。
これだけの大きな衝撃が加わり続けるわけですから、何年も使い続ければ、膝に障害が発生しやすくなるのも無理はありません。
膝関節の骨と骨の間には軟骨という弾力性のある組織があります。これがクッションの役目を果たしているおかげで、膝関節はスムーズに動くことができるのです。ところが、毎日衝撃が加わり続けることによってこの軟骨が徐々にすり減り、骨と骨が直接こすれたりぶつかったりするようになって痛みや炎症を起こします。この状態を変形性膝関節症といい、中高年の膝の痛みの多くはこの病気が原因です。
■肥満、O脚、筋力低下が原因
膝関節の軟骨がすり減るのは、長い間使い続けること、つまり加齢が原因の一つですが、ほかにもさまざまな原因が考えられています。
歩いたり走ったり、あるいは階段を上り下りしなくても、膝関節には大きな荷重、すなわち体重がかかっています。そのため、体重が増えればそれだけ膝にかかる負担も大きくなり、膝関節の軟骨はさらにすり減りやすくなります。
若いころはスリムだった人も、年齢を重ねるにつれて体重が増加しやすいもの。過食や運動不足などにより、脂肪がつくからです。加齢に伴って膝の痛みを訴える人が増えるのは、こうした原因も重なるからです。
日本人に多いO脚も、膝の痛みの原因になります。O脚の場合、膝関節の内側に体重がかかるようになるため、その部分の軟骨がすり減って、ますますO脚の症状が強くなります。
さらに、加齢や運動不足によって筋力が衰えることも、膝の痛みを起こす原因です。筋肉がしっかりついていれば、膝関節に大きな衝撃が加わっても、筋肉がいっしょに支えてくれます。しかし、筋肉が減ってしまうと、関節だけに負担が集中し、大きな荷重に耐えきれなくなるのです。
■痛みを改善・予防する生活習慣
膝の痛みを改善したり防いだりするには、生活習慣の改善が欠かせません。年齢を若いころに巻き戻すことは不可能ですから、それ以外の部分を改善するのです。
まずは、減量に取り組みましょう。肥満があると、それだけで膝に大きな負担がかかるからです。ただし、食事制限だけで体重を減らそうとすると、筋肉が落ちてしまって逆効果です。間食や食べすぎていた分は減らすにしても、1日3食は規則正しくとってください。間食をやめたり、夜寝る前に食べるのをやめるだけでも、ダイエット効果が現れます。
減量とともに大事なのは、適度な運動をすることです。年齢や体力に見合った運動を、定期的に行いましょう。ジョギングは、着地の際に膝に大きな衝撃が加わるのでおすすめできません。好ましいのは、1日30分程度のウオーキングや、プールでの水中歩行です。特に水中歩行は、水の浮力のおかげで膝や腰への体重の負担が軽くなるのでおすすめです。
室内では、イスに座ったままできる運動があります。太もも前面を手で下に押しながら、太ももの上げ下げを繰り返します。こうすることで、太もも前面の大きな筋肉(大腿四頭筋)が鍛えられ、膝への負担を減らすことができます。
運動や筋力トレーニングが必要というと、面倒だと感じるかもしれませんが、運動は改まってスポーツウエアに着替えたり、スポーツジムに通ったりしなくても、日ごろのちょっとした心がけでできるものです。
例えば、普段の買い物に車を使わず、歩いたり自転車で出かけるようにする。3階くらいまでならエレベーターやエスカレーターを使わず階段を上る(下りは膝に負担がかかる)。テレビを見ているとき、コマーシャルの間に太ももを上げ下げする運動をする。それだけでもよいのです。
こうして体を動かすことが苦にならなくなってきたら、散歩をする、ウオーキングをするというように、少しずつ運動の強さを上げ、時間を増やしていきましょう。「心がけて体を動かすようにする」ことが、膝の痛みの改善や予防の第一歩です。
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