国連が定めた「世界糖尿病デー」など、糖尿病対策の活動がこんなに世界規模で行われるのは、いま世界中の国々で糖尿病患者が急増しているからです。
■急増する生活習慣病としての糖尿病
日本も例外ではなく、糖尿病患者とその予備群(血糖値が高め)といわれる人たちの合計数は10年前の1.6倍、実に2,210万人にのぼる、と厚生労働省は推計しています(「平成19年国民健康・栄養調査」結果の概要より)。
糖尿病は発症原因によっていくつかのタイプに分類されますが、日本人成人の糖尿病の90%と圧倒的に多くを占めるのは、食べすぎや運動不足、ストレスなどの生活習慣が要因となって発症するII型糖尿病です。なかでも脂肪摂取量の増加と運動不足という2つの要因について1950年代からの変化をみると、糖尿病患者の増加傾向とよく一致しています。
ですから、この2つの要因を改善することが糖尿病予防の大原則といってもよいのですが、ここではそのうちの脂肪摂取をはじめとする食生活の改善による糖尿病の予防法についてご紹介します。
■欧米食の日系人には糖尿病が多い
私たちの体の生命維持やさまざまな活動を行う主なエネルギー源は糖質と脂質です。そのうち糖質が分解されてできたブドウ糖は、血液とともに全身を巡り、細胞にとり込まれエネルギー源として使われます。血液中のブドウ糖は血糖と呼ばれ、すい臓から分泌されるインスリンというホルモンの働きで一定量にコントロールされています。
しかし、何らかの原因でインスリンがきちんと働かないと、血液中にブドウ糖があふれて高血糖という状態になり、それが続くのがII型糖尿病です。脂肪摂取量の増加は、血糖の量をコントロールするインスリンの働きを乱す重要な要因の一つと考えられています。
食生活が糖尿病に深くかかわっていることを示す例としてよく引き合いに出されるのが、米国本土やハワイに暮らす日系人のケースです。彼ら日系人と日本で暮らす日本人とは遺伝的な体質は似ているはずですが、生活環境は大きく異なります。糖尿病患者の割合は日本人よりも日系人のほうが高く、生活習慣病にかかわる検査値も高いという調査報告があります。その原因として指摘されるのが、米国本土やハワイでの食生活。彼らのとる食事のエネルギー量は日本人より多く、しかも脂肪によるエネルギー摂取割合が高いのです。
■糖尿病やメタボ予防に適している日本型の「一汁三菜」
米国本土やハワイの日系人ほどではないにしても、多くなったといわれる私たちの脂肪摂取量。その望ましい量は、エネルギー量に換算すると、すべての栄養素によるエネルギー摂取総量のうち25%未満に抑えるのがよいとされています。ところが、「平成19年国民健康・栄養調査」では男性の約44%、女性の約54%が25%のラインを超えています。こうしてみると、糖尿病にならないための食事の工夫は、脂肪摂取量を減らすところから始めるのが王道といえるでしょう。
脂肪の多くは食事の中のおかず(主菜)に含まれています。食材そのものの脂肪や調理で使用する油を減らすために、買いものや調理では以下のようなことを考えてください。
(1)牛・豚肉はバラ肉やロースより赤身やヒレ肉を、鶏肉は脂肪の多い皮を外したり、ささみなど脂肪の少ない部位を選ぶ。
(2)揚げものは衣が少ないほど油の量は少なくなるので、フライより天ぷら、天ぷらよりから揚げ、から揚げより素揚げに。
(3)蒸す、煮るなど油を使わない調理法を選ぶ。炒めるにしても、肉をあらかじめ下ゆでして脂肪を落としておく。
主菜はたんぱく質の供給源ですが、それなら肉類より魚介類や大豆・大豆製品(豆腐や納豆など)がすすめられます。肉類がコレステロールを増やす脂肪を多く含むのに対し、魚介類や大豆・大豆製品に含まれている脂肪はコレステロールを減らす不飽和脂肪酸が多いので、糖尿病ばかりでなく、いま問題になっているメタボリックシンドロームを防ぐのにももってこいの食材といえるのです。
さらに、大豆や野菜、きのこ、海藻などに豊富な食物繊維には、食後の血糖値の上昇を緩やかにする働きがあります。
その点、私たちが親しんできた日本型の食事は、メインのおかずに魚介類や大豆・大豆製品が登場することが多く、主菜以外の副菜も、小鉢類をそろえることで野菜やきのこ、豆類、海藻類がとりやすくなります。
また、ごはんを主食にすると、和風以外にも洋風、中華風などよく合うおかずのバリエーションが広がります。これにみそ汁など汁ものを加えた「一汁三菜」という食事様式は、栄養のバランスがよく、洋風の食事に比べてエネルギー量が低めに抑えられるため、世界的にも注目されているのです。
糖尿病やメタボの予防に役立つ日本型の食事は、日本人の知恵が生んだ国際的なスグレモノといってよいでしょう。
(編集・制作 (株)法研)
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