最近、20〜30代の若い女性にも更年期障害のような症状を訴える人が増えて、「プチ更年期」という言葉が使われるようになっています。
■若いのに更年期みたいな症状が
そもそも更年期とは閉経をはさんだ前後10年間をさし、平均的には40代半ばから50代半ばごろ。この時期になると卵巣機能が衰え、エストロゲン(女性ホルモン)の分泌が減って月経周期が不順になります。このとき心身にあらわれるさまざまな不調を更年期障害といって、症状は「不定愁訴(ふていしゅうそ)」と言われるように、頭痛、肩こり、冷え、のぼせ、めまい、疲労倦怠感とさまざまです。
本来、卵巣機能が安定しているはずの若い女性に、なぜこのような症状があらわれるのでしょうか? 最大の原因は、ホルモンの“コントロールタワー”である視床下部(ししょうかぶ)がうまく働かなくなるため。エストロゲンの分泌を促す卵胞刺激ホルモンを分泌して月経周期をコントロールする視床下部は、同時に自律神経もコントロールしているため、ホルモンと自律神経は深く結びつき、影響し合っています。そのため、自律神経がバランスを崩すと、ホルモン分泌にも影響が及ぶのです。
ストレスや過剰なダイエット、過労、不規則な生活、激しい運動などによって自律神経のバランスが崩れると、卵胞刺激ホルモンの数値が下がってエストロゲンの分泌が減り、月経が止まったり、更年期障害のようなさまざまな症状が出てくるというわけです。
■放っておくと卵巣機能が衰え閉経してしまうことも
実際の更年期は、エストロゲンの分泌が減る一方で、視床下部がエストロゲンを分泌させようと頑張ってしまい、その結果自律神経のコンロトールがうまくいかなくなることで起こるといわれています。これに対しプチ更年期は、自律神経の乱れによって卵胞刺激ホルモンの分泌が低下し、エストロゲンが減少するもので、卵巣機能は衰えていないのが普通です。
はっきりした原因もないのに月経が不順で、次のような症状が2週間以上続く場合はプチ更年期の可能性があります。
倦怠感、慢性疲労感、冷え、頭痛、肩こり、めまい、のぼせ、微熱、食欲不振、不眠、イライラ、不安感、うつ、気力・集中力・記憶力の低下など
これらの症状がつらいのはもちろんですが、深刻なのは、女性ホルモンが低下した状態が長く続くことです。放っておくと不妊症になったり、そのまま卵巣機能が低下して本当に閉経してしまう可能性もあるのです。
また女性ホルモンは、子どもをつくるために必要な働きのほかに、体を守るさまざまな働きをしているため、不足を長く放置しておくと、骨量が減って骨粗しょう症になったり、コレステロール値が上がって動脈硬化が進んだりと、深刻な症状につながることもありますから、早めに婦人科で治療を受けましょう。
■早期の治療、生活習慣を見直しストレスをためない生活を
プチ更年期は、人によって時間はかかっても、適切な治療で元に戻すことができます。ただし、放っておくほど治療に時間がかかるようになりますから、気がついたら早めに対処することが大切です。
プチ更年期の治療は、まず血液検査でエストロゲンや卵胞刺激ホルモンの量を測定したうえで、適切な治療が選択されます。また、日ごろの生活を見直して体の状態を整えることも大変重要です。
ホルモン療法
周期的にエストロゲンを補充して卵巣を刺激し、ホルモンが出ていたころの周期をとり戻そうという治療です。具体的には、ホルモン剤や排卵誘発剤、低用量ピル、中用量ピルなどが、症状や患者さんの希望によって使い分けられます。
漢方療法
ホルモン療法の代替療法として用いられます。プチ更年期の人は頑固な冷えや血行不良に悩まされていることが多く、これらが改善すると月経不順や不定愁訴がよくなる場合があります。当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)、加味逍遙散(かみしょうようさん)などの漢方薬が体質に応じて使用されます。
生活の見直しを
過労や睡眠不足を避け、規則正しい生活とバランスの良い食事を心がけましょう。ストレスの多い現代社会で完全にストレスを避けることは不可能ですが、できるだけストレスをためず、発散させる方法をもつことが大切。スポーツや友だちとのおしゃべり、からおけなど、自分なりの方法を見つけましょう。ヨガやアロマ、ハーブ、半身浴などもリラックス効果があっておすすめです。
また、女性ホルモンの働きを助ける大豆のイソフラボンやビタミンE、抗ストレス作用のあるビタミンCなどを食事にとり入れ、しっかりとるようにするとよいでしょう。
普段から基礎体温をつける習慣をつけ、月経の異常に気づいたらなるべく早く、基礎体温表をもって婦人科を受診しましょう。
「gooヘルスケア」記事より
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