病院で血圧を測ると正常なのに、普段の生活の中で測ると高い値を示す人がいます。このようなケースは、正常血圧という「仮面」を被っているように見えることから「仮面高血圧」と呼ばれます。
医師が測定する時は正常値を示すために見逃されがちで、治療が行われないままに動脈硬化や心臓肥大が進行。やがては脳卒中や心筋梗塞を起こす危険が高まるので、健診などで正常血圧であっても必ずしも安心はできません。
■仮面高血圧の定義
日本高血圧学会の「高血圧治療ガイドライン」による仮面高血圧の定義は以下のとおりです。
(1)診察室で何回か測った血圧の平均値が、最高140mmHg／最低90mmHg未満の場合。
(2)家庭で測った値や外で行動中に測った値の平均が135mmHg／85mmHg以上の場合。
(3)24時間測定した平均血圧が130mmHg／80mmHg以上の場合。
(1)をベースに(2)または(3)も当てはまる場合が仮面高血圧です。
■仮面高血圧のタイプ
早朝高血圧
一般的に血圧は、日中の活動している時は上昇し、睡眠中は下がります。そして、眠りから目覚める頃にかけてまた上昇するのですが、この上がり方が急激なタイプが早朝高血圧です。この上昇が急激であるほど、血管が傷ついたり血液のかたまりである血栓ができやすくなります。
夜間高血圧
睡眠中にも血圧が下がらずに朝も高いままの状態が続く場合や、夜間になって血圧が上昇するタイプです。高血圧が続いている時間が長い分、血圧が血管や心臓に与える負担も大きくなり、脳卒中や心筋梗塞で夜間に突然死する危険性が高まります。
職場高血圧
朝や夜、休日などの血圧は正常なのに、仕事をしている時や、家事や育児などをしている時に血圧が上がるタイプです。ストレスにより血圧が上昇するもので、肥満または家族に高血圧の人がいる場合に多いという特徴があります。
これら仮面高血圧は、診察室での血圧が正常とされる人の10〜15％、治療が良好で正常値内におさまっていると思われている高血圧患者の約30％にみられ、脳卒中や心筋梗塞を起こす危険は通常の高血圧患者と変わらないそうです。
■仮面高血圧になるリスクが高いタイプ
▼高血圧で薬による治療中の人
▼正常高値血圧（130〜139／85〜89mmHg）の人
▼喫煙者、アルコール多飲者
▼職場や家庭で精神的ストレスが多い人
▼メタボリックシンドロームと診断されている人
▼糖尿病の人
▼起立性高血圧、起立性低血圧がある人
▼動脈硬化が原因の心臓や血管の病気のある人
これらに当てはまる場合は、診察室での測定が正常血圧であっても油断せず、家庭用血圧計で毎朝決まった時間に血圧を記録し、自分の血圧の変動を知っておくことが大切です。
同時に、食塩摂取量を減らす食生活、適度な有酸素運動、禁煙、節酒などを心がけて、血圧の自己管理にも努めるようにしましょう。
「健康管理士ニュース」より
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