以前は、昼寝といえば「さぼり」のイメージが強かったですが、実は仕事の効率を上げるなど効用が認められ、活用され始めています。
■なぜ昼寝が良いの?
「昼イチの会議は眠くて」とぼやくビジネスマン、午後の授業をぐっすり眠ってしまう学生など身に覚えのある人は多いのではないでしょうか?実は午後に眠くなってしまうのは自然なことであり、睡眠不足かどうかは関係ありません。自然の欲求に従って昼寝することにより、さまざまな効用が認められるのです。
ストレス解消・リフレッシュ
大脳は何かに集中している時は、ごく一部の脳細胞が猛烈に活動している状態になります。しかし、ずっと働き続けるとオーバーヒートしてしまうので、自己防衛のために眠気信号を発信します。ちょっと席を立って体を動かす程度で眠気が飛ぶことがあるのは、脳の休憩ができたからと考えることができます。
また、仕事中は誰しも様々なストレスにさらされています。
眠りというのは、ストレス源を一時的に完全にシャットアウトするため、短時間でも眠るとリフレッシュできます。
事故を防止する
眠い時間帯は、仕事のミスが増えやすい時間帯です。コンピュータなど機器操作のミスが、夜中の次に午後2〜4時の間に多発するというデータもあります。交通事故も夜中の次に午後が多いそうです。
しかし、少し眠れば頭がすっきりし、仕事の能率も上がります。
自己評価がアップする
昼寝の有無で、自己評価のレベルもかなり変わります。ある実験によると、眠気が強い中で仕事をした人は、昼寝をした人に比べて自己評価が低いという結果が出たそうです。
作業成績そのものは昼寝をしてもそれほど向上しませんが、眠気が強まると達成感が脅かされるなど心理的負担が大きいのです。
■年齢によって違う昼寝の効用
職業にもよりますが、大人は基本的に睡眠をとるのは夜で日中は起きています。しかし、赤ちゃんは1日何回も寝たり、小学校に上がる前は幼稚園や保育園でお昼寝タイムを設けます。つまり、年齢によって睡眠サイクルは違うのです。
【赤ちゃん】
まだ脳が未発達の赤ちゃんは、昼も夜も関係なく短い周期で睡眠と覚醒を繰り返す生体リズムの影響を受けるため、一日中寝たり起きたりしています。1回あたりの睡眠時間は45分位と短いのです。
【働き盛りの大人】
大人は長年の習慣で、夜は眠り昼は起きて働くというパターンを身につけた人がほとんどです。昼間は眠気を抑えてでも働かないといけないので、その分夜に長くて深い眠りができます。
とはいえ、日中でも眠気に襲われることはしばしばあります。短時間でも眠れば、頭がすっきりしてより集中力が高まります。
【高齢者】
年をとると脳の機能が衰えてくるため、覚醒させる力も眠らせる力も弱まってきます。そのため、起きていても眠い、眠っていてもすぐ目が覚めるというメリハリのない状態になっていきます。
以前は昼寝は夜の安眠を妨げるという考え方があり、良くないとされていました。ところが近年の研究では、高齢者の昼寝は健康のためにはむしろ奨励すべきことが分かってきています。
■上手に昼寝をする方法
昼食後の眠気の原因は、大きく分けて2つあります。
1つは、食後の消化活動が始まると、脳に「食べることは終了した」という情報が伝えられると同時に、「眠ってもいい」という情報に切り替わるということです。
もう1つは、食事に関係なく生体リズムによる影響で、午後2時位にそのピークがきます。ただし個人差があるので2時に眠気がくる人もいれば、3時や5時頃に1番眠いという人もいます。
【昼寝の時間帯】
その人が眠くなる時間に眠るのが理想的ですが、目安としては正午〜午後3時頃が望ましいとされています。午後の早い時間帯の仮眠が効果的という研究結果も出ています
【時間は15〜20分】
軽い眠気を追い払う仮眠をとるなら、15〜20分程度で十分です。なぜかというと、中途半端に1時間位睡眠をとると、深い睡眠まで入ってしまいます。深い睡眠の状態からいきなり目を覚まそうとすると、かえって頭がぼーっとしたり、不愉快になってしまうのです。
【昼寝前にはコーヒー】
昼寝をしたのはいいけど、起き抜けにぼーっとしてしまうのが心配です。昼寝をする前にコーヒーや緑茶などカフェインの入ったものを飲むと、20分程でカフェインの覚醒作用が効きはじめ、目覚めやすくなります。
日本では、特に職場においては、なかなか昼寝をしにくい環境にあるかもしれませんが、昼休みなどを利用して20分程で良いので上手に昼寝を活用してみて下さい。眠いのにも関わらず無理に起きているよりは、ずっと仕事などの能率が上がるはずです。
【日本成人病予防協会】 健康管理情報より
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