昔から「噛むと頭がよくなる」とよく聞きます。咀嚼により脳の働きが活性化、記憶力向上の可能性があるといいますが、本当なのでしょうか。
■記憶力が明らかにアップ
食べものを噛(か)むという行為は、文字通り食べものを噛み砕き、すりつぶして飲み込みやすくし、胃腸での消化・吸収を良くします。さらに、頭の働きも向上させるということをご存じの方も少なくないでしょう。好きなものを食べて満足し、おまけに頭の働きが良くなるというのですから、すごくオイシイお話ではないでしょうか。
この、噛むと頭の働きがよくなることを証明してくれたのが、神奈川歯科大学教授の小野塚實先生です。小野塚先生のご専門は、ずばり「脳神経生理学」。咀嚼(そしゃく=噛むこと)と脳の関係を研究する専門家です。先ごろ東京都内で開かれたセミナーで、噛むことが、とくに高齢者の記憶力を改善することを実証した研究結果を明らかにしました。そのオイシイところをかいつまんでご紹介しましょう。
小野塚先生らは、ある地域で約1,200人(19〜76歳)の住民の協力を得て、ガムを2分間噛んでもらい、その前後の記憶力の変化を調べる実験を行いました。その方法は、まず64枚の風景写真を見せた後、その半分を一部微妙に変化させた写真と入れ替え、最初に見た写真と同じかどうかテストするというもの。実験はいくつかの年齢層に分けて行われましたが、65歳以上の約20%で、ガムを噛む前に比べ噛んだ後の正答率(記憶獲得の効果)は15%以上アップしていました。50人調べても、1,000人調べても、結果はほぼ同様でした。
■記憶力の老化にストップ
新しいことを記憶として脳にファイルするときには、脳の中の海馬(かいば)という部分が重要な働きをします。したがって、海馬が働かなくなると新しいことが覚えられなくなります。だれでも加齢に伴って、海馬の神経細胞が脱落・萎縮して機能が低下していくため、年をとると、昔のことは覚えていても新しいことが覚えられなくなるということになりやすいのです。
上記の記憶テストに先立って、ガムを噛むことが海馬にどのような影響を与えるのか、脳の活動状態を画像化するMRI(機能的核磁気共鳴画像装置)を用いた測定が行われました。その結果、とくに高齢者の場合は噛むことで海馬の活性が高まり、活性化する部分が拡大することが確かめられました。これは噛むことで、活動している海馬の神経細胞の数が増えたことを意味します。
つまり、噛むという行為は、「年をとったら記憶力が低下するのは仕方がない」というあきらめ発想にストップをかけられるかもしれないのです。
■料理はゆっくり味わって食べる
さて、噛むことの威力がお分かりいただけたのではないでしょうか。そこで最後に一つご注意を。
噛むことの効果はただ噛めばアップする、というものではないようです。小野塚先生らは、実験ではガムを、意識的に、しっかり、ゆっくり噛んでもらうよう指示しました。その結果の記憶力アップの効果なのです。つまり早食いのようにクチャクチャ噛んでも効果は期待できないらしいのです。
また、実験に使ったガムは味や香料を加えていないガムの素材で、硬さは市販のガム程度。これを非常に硬いガムに代えて実験しましたが、脳の活性度がさらに上がるという結果は得られませんでした。むしろ小脳を除いて脳の活性度は減少しました。噛みごたえがあればいい、ということでもないのです。
ほかにも、噛むことは味覚や視覚などの感覚や、運動神経の活動も活性化することがわかっています。
以上のことを普段の食生活で生かすとすると、こんなことになるでしょうか。すなわち、軟らかすぎず硬すぎず、適度な噛みごたえのある料理を、「よく味わおう」と意識して、しっかり、ゆっくり噛むこと。そうすれば、満腹するころには頭の中の神経回路も活発になっているというわけです。日ごろ早食いを指摘されている人は、よぉーく噛み締めてくださいね。
「gooヘルスケア」より
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