コエンザイムQ10という言葉はどこでも目にするようになりましたが、実際にはこの名前を聞いてもピンと来ない方も多いのでは。今回はその素晴らしい魅力に注目してみました。
■コエンザイムQ10とは？
コエンザイムQ10（以下CoQ10）は、私たちの細胞全てに存在します。人の体内で生合成されます。また魚介類など多くの食品からも少量は摂取できます。そしてなにより私たちが健康的に生きていく上で必要不可欠な物質なのです。一方で、年齢を増すごとに不足しやすいという特徴もあります。
■生体に必須の物質
私たちの体はおよそ60兆個の細胞から成り立っていて、これらの細胞が日常生活を送る上で必要なエネルギーを 作り出しています。
体のエネルギーは、各細胞内で酸素が食物から摂取した栄養素を燃焼させることで作り出されます。CoQ10はこの栄養素を燃焼させる仕組みを、効率良く回転させるために必要な補酵素なのです。CoQ10は人間の体内の全ての細胞に存在しますが、その濃度は組織により異なります。特に心臓には多量のCoQ10が含まれているため、欠乏すると心臓に影響がでやすいといわれています。
その他にも、脳、腎臓、肺、脾臓、歯周組織、免疫系など多くの器官に影響がでると言われています。私たちの生命活動の基本となるエネルギーが、「ATP」（アデノシン三リン酸）です。このATPをつくるために、コエンザイムQ10は必須なのです。エネルギーを作り出しているのは、全身の細胞の1 つ1つに存在するミトコンドリアという小器官です。ここで栄養素が酸素によって燃焼され、エネルギーが作り出されます。コエンザイムQ10はこのミトコンドリア内に多量に存在し、エネルギー産生の働き手として活躍しています。
■私たちの体を守る抗酸化の仕組み
生きていくのに不可欠な酸素は、その取り込んだうちの約2%が体内で「活性酸素」とよばれる極めて不安定な物質に変化します。通常、活性酸素は外敵から体を守る役割をしますが、なんらかの原因により多量に発生してしまうと自らの体を攻撃しダメージを与えてしまうのです。活性酸素による障害は体内の酵素によって修復・再生されますが、活性酸素が過剰に生成され続けると、この修復・再生も追いつけなくなってしまいます。こうなると、体各部の脂質やタンパク質、糖、核酸などが酸化し、変性されていきます。この体のサビついた状態を「酸化ストレス」が加わった状態といいます。
「酸化ストレス」そのものに、目立った自覚症状はありませんが、目で確認できるものといえば、日焼けによるシミぐらいです。しかし現在日本人の死因のトップを占める3大生活習慣病である、ガン、心臓病、脳卒中の原因の筆頭にあげられるのが、酸化ストレスなのです。また酸化ストレスは、老化の原因の１つとも考えられています。酸化ストレスなどの細胞障害の蓄積が大きくなるにつれて、老化の進行が加速する危険性も高まると考えられるのです。
過剰に生成されると有害な作用をおよぼしてしまう活性酸素ですが、これに対抗する働きを持つものとして、「抗酸化物質」が知られています。ビタミンC、ビタミンE、グルタチオン、そしてCoQ10の4種類を特に重要な抗酸化物質として挙げることができます。CoQ10はこれら抗酸化物質の中でも第一線で働き、強力な抗酸化作用があることが認められています。
■CoQ10の減少原因は？
体内のコエンザイムQ10レベルは、年齢、ストレス、寒さ、病気、ホルモン濃度、薬物及び身体活動状態などの様々な要因の影響を受けます。
生合成によるCoQ10の供給は非常に重要です。しかし、CoQ10の生産力は加齢とともに衰えていくことがわかっています。CoQ10の血中レベルも加齢とともに低下し、年齢が高くなるとCoQ10の欠乏状態も多くなることが確認されています。
■CoQ10が多く含まれる食品とは？
CoQ10そのものが多く含まれている食品としては、イワシやサバなどの青魚、ウナギ、牛や豚の肉、豆製品などがあげられます。CoQ10は脂溶性なので、これらの食品を食べるときには油を使って調理すると効率的に補給できます。よく魚を食べる人は、食べない人よりも摂取量が多いと考えられています。加齢によって生産力が低下すると体内のCoQ10量は減少しています。つまり、従来通りの食事をしていたのでは加齢による不足分をカバーできなくなってしまうのです。
健康維持や老化防止として摂取する目安として、30〜60mgが推奨されています。 1日30mgのCoQ10を摂るには、イワシ約6匹、牛肉約950g、ピーナツ約1150gのいずれかが必要になります。これだけ摂ろうと思ったら大変ですよね。最近ではサプリメントがいろいろなところから発売されているのでサプリメントで手軽に摂ってみてはいかがでしょうか。
■女性に嬉しいCoQ10の効果は？
CoQ10は特に女性にはうれしい美容効果があります。皮脂などの皮膚のオイル成分が老化や紫外線などの影響により酸化すると「過酸化脂質」になり、シミやシワ、乾燥などの皮膚の老化現象がおこります。CoQ10には、この過酸化脂質をもとの物質に還元し、さらにビタミンEとともに過酸化脂質の発生を抑えてくれる働きがあるのです。
また、アメリカでは脚のむくみの解消や脚の部分やせができるとして、女性に非常に人気があります。CoQ10は脚の動脈を広げて血流をよくすることで、脚の水分代謝をよくし、むくみを解消し、下半身の脂肪を燃焼させるといわれています。CoQ10はお肌がきれいになってさらにダイエットもできる、優れものなのです。
また疲労回復にもCoQ10が注目されています。疲れやすい人の血液は、CoQ10が少なくなっています。CoQ10は人間の細胞ひとつひとつに存在し、体の中でエネルギーを作り出すのに欠かせない物質。それが不足していると、栄養素をしっかり摂っていても、うまくエネルギーが作り出せないのです。CoQ10不足の人が肩こりや頭痛、不眠に悩まされることもあるのです。疲労回復にも、CoQ10を意識的に摂ってみてはいかがでしょうか？
「health」記事より
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