現代の食生活の特徴の一つが、柔らかい食品やメニューが増えていること。噛むことは、歯やアゴの発達に関わるだけでなく、全身の健康と関係することがわかっています。
■現代人は、柔らかいもの好き
昔は食習慣の躾として、「しっかり良く噛んで食べなさい」と、よく言われたものでした。しかし現代では、あまり聞かれなくなっているようです。現代の食生活の特徴の一つが、ハンバーグやカレー、パン、パスタなど、あまりよくかまなくても飲み込むことができる、柔らかい食品やメニューが増えていることがあげられます。
噛むことによって、歯はしだいにすり減ります。乳歯は、普通永久歯より柔らかいため、きちんと噛んでいれば5歳くらいになると、かなり乳歯はすり減っているのですが、今の5歳の子どもの歯を調べると、あまりすり減っていない子も見られるようになっています。また幼稚園児を対象に「普通食べていて硬いと感じる食べ物」をアンケート調査すると、「ほうれんそう」や「レタス」をあげる子がいるのです。これは日常柔らかい食品になれていることを示しています。
■噛むことは、全身の健康に役立つ
近年、咀嚼(そしゃく)=噛むことをあまりしなくなって、人の成長や健康に悪影響となっていることが指摘されています。歯並びや噛み合わせが悪くなる、歯肉炎、歯周病、虫歯、歯槽のう漏など、口腔内の疾患や障害が増えています。また丸のみや早や食いは大食を招き、肥満にもつながります。
またきちんと噛むことは、視力のためにもよいといわれています。ヒトは、ライオンのように牙があるわけではなく、馬のように早く走れるわけでもなく、硬い甲羅もない丸裸の弱い動物。その分、脳が発達していますし、また早く敵を発見して逃げられるように視力がよい動物なのです。原始的な生活をしている民族が視力のよいことは、よく知られていますね。しかし、先進国など文明の進んでいる国ほど、視力の低下が目立っています。視力が落ちることにより、肩凝りなどの症状も引き起こします。
さらに、よく噛まなくてもおいしく食べられるということは、味付けが濃くなりがちです。すると塩分や等分の摂取が多くなり、またこういう調味が続くと、高血圧や糖尿病などの病気を引き起こすことになりかねません。
咀嚼は、全身の健康と密に関係しています。しっかり噛むという習慣を、できるだけ小さいうちから身につけておきたいものです。
「All About」記事より
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