食道から胃への入り口が緩んで、胃液などが逆流して胸焼けを起こす胃食道逆流症。メタボ男性と高齢女性に多く、進行するとがん化する場合もあります。
■以前は逆流性食道炎と呼ばれていた
食事の後に胸焼けが起こる、酸っぱいものがこみ上げてくる、げっぷが出やすい──などという不快な症状にたびたび見舞われるようなら、それは「胃食道逆流症」かもしれません。この病名、あまりなじみがないかもしれませんが、以前は「逆流性食道炎」と呼ばれていたといえば、聞いたことがあるのではないでしょうか。
この病気は文字通り、胃液などが食道のほうに逆流してくるためにさまざまな症状(表1)をもたらすものです。口から摂取した食べ物は胃に入って胃酸により消化されます。胃酸は肉の塊をも溶かすほどの強い酸性ですが、胃壁が溶けないのは粘膜が分泌する粘液によって守られているから。しかし食道の粘膜には粘液がないので、胃から酸性の胃液の逆流がたびたび起こるようだと食道の粘膜にびらん・潰瘍などの粘膜傷害を起こしてしまいます。これが逆流性食道炎と言われていた頃の概念でした。
<こんな症状がよくあれば胃食道逆流症かも>
・胸が焼けるように熱い
・げっぷがよく出る
・酸っぱいもの、苦いものがこみ上げてくる
・胸がつかえる感じがする
・横になるとせき込みやすい
しかし最近、不快な症状があっても内視鏡で検査してみると食道の粘膜に傷害のない例がよくみられるようになりました。このため、食道の粘膜に傷害があってもなくても、胃食道逆流症と呼ばれるようになったのです。
■食道と胃の境目にある括約筋が緩むために逆流
胃食道逆流症が起こる主な原因は、食道と胃の境目にある下部食道括約筋(かつやくきん)の緩みです。下部食道括約筋は収縮力の強い筋肉で、健康な人なら食事をしていないときはこの筋肉がふきんを絞るようにギュッと締まって胃の内容物の逆流を防いでいます。ところが、この筋肉が緩んで境目が開いたままになってしまうと、胃からの逆流を防ぎきれなくなってしまうのです。
下部食道括約筋が緩む原因の1つに肥満があります。内臓周辺に蓄積した脂肪によっておなかの中の圧力が高まり下部食道括約筋の締まりを悪くします。そのため、おなかポッコリのメタボ体型の男性に胃食道逆流症が多くみられます。女性では70歳以上に多いようです。高齢になると、唾液(だえき)の分泌量減少、胃の機能低下、腰が曲がるなどの理由で胃液が逆流しやすくなります。
高齢者には食道に傷害を起こして粘膜がただれる「びらん性」の胃食道逆流症が多いといわれ、慢性化が進むと食道がんになることもあると指摘されています。一方、食道の粘膜傷害がみられない「非びらん性」タイプはストレスを原因とするものが最近目立っているようです。
胃食道逆流症には、日本人の30%以上がかかっているという報告があるそうです。もともとは欧米人に多かったのに、日本人にも目立つようになった背景として指摘されているのが食生活の欧米化です。肉類を中心とする高脂肪食は消化に時間がかかるため、胃酸も長い時間分泌されます。胃酸の過剰な分泌はげっぷを起こしやすくし、げっぷが出るときは下部食道括約筋が緩みますから胃液などが逆流しやすくなるのです。
■生活上の注意を守ることでセルフケアも可能
胃食道逆流症の治療の基本は生活上の注意を守ることで、かなりの症状を抑えることができます。しかし、その上で症状を抑えられなければ、薬によって胃酸の分泌を抑えることも必要でしょう。
<胃食道逆流症を防ぐセルフケア>
・食べ過ぎや就寝直前の食事はしない
・脂肪の多いものや甘いものは控え目に
・炭酸飲料、アルコール、コーヒー、香辛料などの刺激物も控え目に
・禁煙する
・肥満、便秘を防ぐ
・ストレスをためないようにする
・体を締めつける服装はしない
・腹圧を上げるような猫背や前かがみの姿勢を長く続けない
症状と原因に思い当たることがあれば、セルフケアを行ってみましょう。それでも改善しなければ、別の原因の可能性も含め、いちど医師に相談したほうがよいでしょう。
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