今年の夏も暑くなることが予測されています。夏の皮膚トラブルといえばあせもが代表格ですが、今回はそれ以外にも注意したい皮膚炎・かぶれの症状と、悪化させない対策について解説します。
■この皮膚トラブル、あせもじゃない?
本格的な夏がやってきました。日本の夏が高温・多湿なのはいうまでもありませんが、毎年夏が来るたび、暑さや汗のせいで体調を崩したり、皮膚トラブルを起こすなど、あらためて夏の厳しさを実感するものです。
服を着ていて快適と感じるのは衣類内の温度が32℃前後、湿度50%程度だそうです。最近は節電のためエアコン温度を弱めに設定する企業も増えており、そのような理想的な環境を保つことは難しいといえるでしょう。
環境省は「スーパークールビズ」と称してノージャケット、ノーネクタイをはじめオフィス内でのTシャツやサンダルの着用までOK(条件つき)としています。実際のところ、すべての人がそのような服装で仕事ができるわけではないでしょう。暑くてジメジメした環境で毎日を過ごしているうち、皮膚トラブルを起こす人も多いものと思われます。
夏にブツブツやかぶれができると「あせも」と思う人が多いかもしれませんが、じつは夏の皮膚トラブルはあせもだけではありません。汗によって起こる皮膚トラブルは、他にもあるのです。
■汗そのものが原因で起こるかぶれ
あせもは、大量の発汗にともなって汗腺の出口が詰まり、行き場を失った汗が肌内部に留まることで炎症を起こす皮膚トラブルです。
こうしたあせもとは異なり、汗に含まれる塩分やアンモニアといった、汗の残留物が肌を刺激することで起こる、つまり汗そのものが原因でかぶれるケースがあります。
あせもの場合は全身のどこにでもできる可能性がありますが、汗によるかぶれは衣類で密閉されたり、しめつけられているところにできやすいのです。男性の場合はワイシャツの襟もとやベルトの部位、女性だと下着のラインに沿ってかぶれることが多いようです。
汗によるかぶれの場合も、あせもと同じように肌の清潔を保つ必要があります。汗をかいたらこまめに拭きとり、帰宅後はなるべく早めにシャワーを浴びるなど、汗を肌に付着させておかないよう心がけましょう。
また、肌が乾燥した状態にあるとさらに汗の刺激を受けやすくなるため、入浴の際はゴシゴシと洗いすぎないように気をつけて下さい。
■金属アレルギーの人は要注意
また、汗をたくさんかく夏のシーズンは、金属アレルギーにも注意が必要です。金属は汗や唾液にふれるとイオンとなって溶け出す性質があるため、肌にしみこんで皮膚炎・かぶれを引き起こすのです(「「かぶれ」や「アレルギー反応」はなぜ起きる?」を参照)。
最近の厚生労働省研究班の調査では、皮膚トラブルの原因となる装飾品として、ネックレス、ベルトのバックル、ピアスの順に多いと報告されています。こうした装飾品には、強度を増したり価格を安く設定する目的で、日本人が反応しやすいとされるニッケル、コバルトなどが添加されている製品が多くあるからです。
汗をかいた手でニッケルが含まれる硬貨を握っただけでかぶれる人もいるそうですから、ふだんから金属でかぶれやすい人は、大量の汗をかく夏はとくに注意が必要でしょう。
過去に金属によるかぶれを起こした経験のある人は、夏は肌に直接つけないようにするか、アクセサリーならシルバーやプラチナ、純度の高いゴールドなど、アレルギーを起こしにくい材質を選ぶという方法もあります。
■汗による皮膚トラブルを起こさない、悪化させない対策
あせもはもちろん、汗によるかぶれや金属アレルギーに気づいたら、すぐにしっかりとしたケアを行いましょう。皮膚トラブルの原因を取りのぞくとともに、症状を早く改善するため、強い抗炎症作用を持ったストロングランクの外用ステロイドを用いることがおすすめです。
とくに夏の肌は、汗により細菌が繁殖しやすい状態になっているため、かゆみからかき壊してしまうと傷口で細菌が増殖し、ジュクジュクと化膿するような事態にも陥りかねません。
かき壊しによる化膿を伴う患部には、細菌増殖を防ぐ抗生物質が配合されたステロイド外用剤が適しています。皮膚炎・かぶれの進行、悪化を食い止め、キチンと治すためにも、症状に適したステロイド外用剤を選びましょう。
<予防のために出来ること>
・こまめに汗をふく習慣をつける
・帰宅したら早めにシャワーを浴び、汗の付着する時間を短くする
・通気性が良く、汗を吸う素材の衣類を選ぶ
・なるべく締めつけの少ない下着を身に付ける
・女性ならカップ付きインナーもおすすめ
・直接肌に触れるアクセサリーは必要最小限に留める
・アクセサリーが必要な場合は、材質をチェックする
しばらく暑い日が続きます。体内の熱を発散させ、体温を一定に保つためにも汗をかくことは欠かせませんが、汗による皮膚トラブルは避けたいものです。出来てしまったら、早めのケアでイッキに、そしてキチンと治し、夏のシーズンを楽しみたいものですね。
「All About」記事より
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