この時期、暑いからといって冷たいものばかり飲み食いし、夏バテの人もいるのでは?こんなときは、スパイスたっぷりのカレーはどうでしょう。スパイスこそ、実は夏の暑気払いにぴったりなのです。
■昔、スパイスは薬だった!?
コショウやターメリック(ウコン)、カルダモンなど、カレーに使われる代表的なスパイスのルーツを辿れば、原産地はインドというものが多い。そんなスパイスの発見には、あのお釈迦様が関わっているという説があります。
昔むかし、お釈迦様が修行のため山ごもりしたとき、飢えをしのぐために食べた木の実、草の根、香草の葉。これらを、下山した先の村に不老長寿の薬として伝えたそうです。ちなみに、この村の名前が「カレー」だったから、スパイスを使った料理をカレーと呼ぶようになったとか。
伝説は別として、インドで古くから伝わる「アーユルヴェーダ」という医学では、スパイスを薬として使ってきました。中国やエジプトでもスパイスは薬だったのです。中国の「医食同源」という言葉はよく知られていますが、日々の食事で疲労回復、病気治療、滋養強壮の効果を求める思想は、これらの国のスパイスを上手に使う食生活にも現れているのです。
■スパイスの種類と効用
熱帯地方でスパイスを多用する辛い食べ物が好まれるのは、辛いものを食べると血流がよくなって、体温が上がり、発汗が促されるからです。汗は、体内にたまった熱を皮膚から逃してくれるため、暑さをしのぐひとつの方法なのです。
では、スパイスには他にどのような効用があるのでしょうか?カレーに使われる代表的なスパイスを調べてみましょう。
【原産地 】インド南西部
【使用部分】実
【主な薬効】健胃、防腐、食欲増進、発汗、消化促進
酸化を防止することから、中世ヨーロッパでは肉の保存に使われていた。発汗作用があるので、風邪のときは、スープにコショウを多めにふりかけて食べるとスッキリする。
【原産地 】スリランカ、インド南部
【使用部分】種
【主な薬効】健胃・整腸、口臭防止、精力増強
古代インドでは頭痛薬や脂肪を取る目的に使われた。アラブではカルダモン入りのコーヒーが、日中の暑気払いとして欠かせないものという。丸ごとかむと眠気覚ましにも効果あり。
【原産地 】熱帯アジア、インド南部
【使用部分】根茎
【主な薬効】鎮痛、健胃、肝臓病、糖尿病、息切れ
ターメリックとは、沖縄の健康食品として注目されているウコンのこと。カレーやたくあんの色づけに活躍。抗酸化作用や浄化作用などがあり、血液をきれいにする。脂肪の分解にも役立つ。
【原産地 】地中海沿岸、エジプト
【使用部分】種
【主な薬効】消化促進、下痢、腹痛、胃痛
独特の強い香りはまさにカレー。ゆえにカレーを構成する重要なスパイスの一つとなっている。個性が強いので、一度にたくさん使わないように注意が必要。食欲増進効果がある。
■始めてみよう!スパイス的生活
上記以外にも、シナモンには発汗作用、クローブやオールスパイスは食欲増進など、ポピュラーなスパイスには、暑気払いや食欲不振の解消にはぴったりの効用があります。ただ、クセの強い味や香りがあるものも多いので、慣れていない人は、スパイス売り場に置いてある「ガラムマサラ」がオススメです。
これは、いろいろなスパイスをミックスしたもので、インドでは各家庭で異なるブレンドがあるという、いわばインド版「お袋の味」です。1種類で使うより香りもマイルドになるので使いやすくなります。また、いくつものスパイスを組み合わせる相互作用で薬効が高まり、より強い効果が期待できます。これを家庭に常備しておき、いつものカレーにかけてもよいし、野菜炒めや肉を焼くときに振りかけてもよいでしょう。カレーが苦手な人でなければ、スパイシーな香りが食欲を増してくれること請け合いです。
「healthクリック」記事より
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