脳卒中というと冬場に多いというイメージがありますが、実は夏場に増えるタイプの脳卒中もあります。それは「脳梗塞」で、日本ではこの脳梗塞が脳卒中全体の約8割を占めています。
■脳出血は冬に、脳梗塞は夏に多い
脳卒中というと冬場に多いというイメージがありますが、実は夏場に増えるタイプの脳卒中もあります。それは「脳梗塞」で、日本ではこの脳梗塞が脳卒中全体の約8割を占めています。
脳卒中は、脳の血管が破れて出血する「脳出血」、脳の血管が詰まって血液が流れにくくなる「脳梗塞」、脳の表面にある動脈瘤(りゅう)が破裂して出血する「くも膜下出血」の3つに大きく分けられます。どのタイプも脳の神経細胞がダメージを受け、命を落とすこともある怖い病気です。たとえ命は助かっても半身のまひや言語障害などの後遺症が残ったり、寝たきりになったりして、健康寿命を短くする大きな要因となっています。
脳卒中のうち、高血圧が最大の原因である脳出血は、寒さで血管が収縮し血圧の上がりやすい冬に多く発症していますが、脳梗塞の発症は夏が多くなっています。東海大学医学部神経内科の瀧澤俊也教授らは、脳梗塞の患者さん2万人のデータを分析し、脳梗塞の発症のピークが6〜8月の夏にあることを明らかにしています。
■脱水による血液ドロドロが原因に
脳梗塞が夏に多い理由の一つに、夏は大量の汗をかくため体が脱水状態になりやすいことがあげられます。脱水が起きると血液中の水分も不足し、血液が粘っこくドロドロの状態になり、血のかたまりである血栓ができやすくなるのです。また、水分不足により体内を循環する血液量も減少して、血管が詰まりやすくなります。
さらに、血圧も原因となります。寒さで血圧が上がりやすい冬とは逆に、夏は体の熱を放出しようと末梢血管が拡張し、血圧は下がりやすくなります。健康な人なら血流が悪くならないように脳の調節機能が働くのですが、血管の拡張作用がある降圧剤(血圧を下げる薬)を服用している人は要注意です。薬のためさらに血圧が下がり、血流が遅くなって血栓ができやすいからです。
夏に多くなる脳梗塞を予防するため、高血圧の人の血圧管理は医師の指導のもとに行う必要があります。ここでは、脱水症状を防ぐための水分補給のコツを紹介しましょう。
■のどが渇く前からこまめに水分補給を
水分補給は、のどの渇きを感じてからガブガブと飲むよりも、一定の時間ごとに少しずつ補給するほうがよいとされています。特に高齢者は暑さやのどの渇きを感じる感覚が衰えているため、30分に1回など時間を決めてこまめに水分をとる習慣をつけるとよいでしょう。夏は寝ている間もよく汗をかきますから、寝る前にコップ1杯の水を飲むことを、ぜひ習慣づけてください。
ほかにも、朝起きたとき、スポーツ中とその前後、入浴の前後、飲酒中とその後など、水分が不足しがちな時間帯の水分補給、そしてのどが渇く前の水分補給を心がけましょう。
また、お酒を飲む人が注意しなければいけないのは、ビールなどのお酒を飲んで、水分を補給したつもりになってしまうこと。お酒の利尿作用や発汗作用に加え、アルコールを分解するためにも体内の水分が使われますから、お酒を飲んでも水分を補給したことにはならず、かえって脱水状態を招きかねません。お酒を飲んでそのまま寝てしまい、脱水から脳梗塞を起こすこともあり、若い方でも大変危険です。お酒を飲んだときは、寝る前の水分補給を忘れずに!
では、水分補給には何を飲むとよいでしょうか? 普段は、水や麦茶などがよいでしょう。濃い緑茶やコーヒーなどカフェインの多い飲み物にも利尿作用がありますし、ジュースやスポーツ飲料は、飲みすぎると糖質やエネルギーのとりすぎになります。
ただし、大量に汗をかいたときは体内のナトリウムも一緒に失われるため、スポーツドリンクにしましょう。水や麦茶ではナトリウムが補充できず、意識障害を起こすことがあります。
■1年を通じ、生活習慣の改善で予防を
夏、意識的な水分摂取で脱水を防ぐことは、熱中症だけでなく脳梗塞の予防にもなることがおわかりいただけたと思います。ただ、脳梗塞は夏の発症が多いといっても、それ以外の季節には少ないというわけではありません。そもそも、脳梗塞の発症は加齢や生活習慣と深くかかわっています。
脳梗塞の3大危険因子といわれる高血圧、高血糖、脂質異常の予防・改善には、食事や運動、喫煙、飲酒など生活習慣の改善が大変重要です。食事では塩分や脂質、エネルギーをとり過ぎない、運動を日常生活に取り入れる、禁煙する、お酒は飲みすぎないなど、生活習慣を改善することが、脳梗塞、ひいては生活習慣病全般の予防・改善につながります。
「gooヘルスケア」より
そして、毎日をいきいきと健やかに過ごすための「家庭での健康パートナー」として、ぜひ有機ゲルマニウムを健康ライフの強い味方にしてみてはいかがでしょうか。