がんの治療と言えば、外科療法(手術)、放射線療法、化学療法(抗がん剤)、の三大療法です。いわゆる「切る」「焼く」「殺す」ですが、新しい切り札、「免疫療法」についてお話します。
■免疫療法って何?
「がん治療の新しい切り札?」「免疫?」「何だか、怪しい…」と思われた方、決して、少なくないと思います。そう思われるのも、無理はありません。
健康食品やサプリメント、漢方薬などにも、「がん」と「免疫」をテーマにしたものが多くあります。実際に、がんと免疫は非常に大きなつながりがあるのです。私達のからだの中では、がん細胞は毎日できています。しかし、免疫細胞がそれら一つ一つを丹念にやっつけているため、全ての人ががんになるわけではないのです。
免疫とは自分と自分でないものを見分ける力のことですが、がん細胞を自分でないものと見分け、それらを今まで通りに攻撃することができないか?というのが、免疫療法の基本的な考え方です。
■免疫療法と三大療法の根本的な違いとは
三大療法は、医学的理論に基づき、世界でも広く行われ、日本では健康保険が適用される治療法です。
手術は、がんの病巣を十分なマージンをつけて、近傍のリンパ節と一緒に切除して取り除きます。抗がん剤治療は、全身に薬を巡らせて、がん細胞を攻撃します。放射線療法は、がん細胞が有る場所や、有ることが予想される場所に対して放射線を照射し、がん細胞を攻撃します。
これら3つの治療法のデメリットは、がん細胞だけを攻撃することはできないということです。がん細胞そのものを切除したり攻撃を加えたりできると同時に、正常な細胞もそれ相応のダメージを受けます。その結果、患者自身の免疫力が低下し、がんの増殖を誘発するという可能性も生じます。
免疫療法の強みは、「特定の抗原を持つ細胞だけを選択的に攻撃できる」ために、正常な細胞には理論的には全くダメージを与えないところです。また、三大療法のいずれとも、がん細胞に対する効果を示す仕組みが異なることもポイントです。免疫療法のひとつとしてワクチンという方法があり、がんに対してもその実用化が進められています。また、自身の免疫細胞(NK細胞など)を血液から採取して、大量に培養してから体内にもどす療法が実用化されていますが、まだ保険適用はされていません。
■予防医学と免疫療法
かつて「夢の新薬」として脚光をあびたインターフェロンを、自らの体内で誘起させることでマクロファージやNK細胞を飛躍的に活性化させることが出来れば、がんの進行や転移を抑え、初期や早期のがんを完治することも可能であるといえます。また、日常的に自らの免疫力を高めておくことが出来れば、がんやその他の疾病を防ぐ予防医学の分野も開けていくことでしょう。
これからの医療は、三大療法と免疫療法をうまく組み合わせることで、がん治療の新しい展望はきっと開けていくと思いますし、その時代は、もうすぐそこまで来ているのではないでしょうか。
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