食中毒というと、夏場に多く発生する病原性大腸菌やサルモネラ菌などによる「細菌性食中毒」をイメージするかもしれませんが、冬場も夏場と同じように注意が必要です。
冬場に多く発生するものは「ウイルス性食中毒」で、代表的なものがノロウイルスによるものです。年間を通してみると食中毒の患者数の約半分はノロウイルスによるものです。
ノロウイルスは、感染力が強く、大規模な食中毒など集団発生を起こしやすいため、注意が必要です。ノロウイルスにはワクチンがなく、治療は対症療法に限られるので、予防対策を徹底しましょう。
■ノロウイルスの特徴
ノロウイルスは、直径約3万分の1mmの小型のウイルスで、人の口から体内に入って、腸の細胞内で増殖して急性胃腸炎を発症させ、おう吐や下痢、腹痛などを起こします。
<感染経路>
●食品からの感染
・ウイルスに汚染された生ガキや貝類を十分に加熱しないで食べた場合
・感染した人が調理することで、食品が汚染され、その食品を食べた場合
●人からの感染
・患者の便やおう吐物から人の手を介して二次感染する場合
・家庭や施設内などで飛沫などにより感染する場合
ノロウイルスは感染力が強く、わずかなウイルスを吸い込むことでも感染します。感染者のおう吐物1cc中には約1万〜1億個のウイルスが含まれています。
<潜伏期間>
24〜48時間
<主な症状>
吐き気、おう吐、下痢、腹痛、微熱 など通常は、これらの症状が1〜2日間続いた後に治癒します。幼児や高齢者、病気治療中の人は、重症化したり、おう吐物が誤って気道に詰まってしまったりなどの危険があります。
症状回復後でも1〜2週間、まれに1カ月にわたり糞便中にウイルスを排出し続けます。そのため、二次感染にも注意が必要となります。また、感染しても発症しない場合があり、このような感染者からの感染拡大に注意が必要です。
■ノロウイルス予防のポイント
ノロウイルスによる食中毒を予防するためには、食品管理はもちろん、身の回りの衛生面に注意することが大切です。
●手洗い
調理前、食事前、トイレ後などは石けんを使って、指の間、爪の内側まで丁寧に洗いましょう。
●食品への加熱
魚介類を調理するときなど、「生食用」と表示のないものは 中心部分を1分以上85℃以上で加熱しましょう。
●調理器具の消毒
まな板、包丁、食器、ふきんなどの調理器具や調理台は消毒していつも清潔に保ちましょう。
●二次感染の予防
便や吐いたものを片付けるときは、使い捨ての手袋やマスク、ペーパータオルを利用し、処理後はビニール袋に密封し、家庭用の塩素系漂白剤など消毒液を加えて捨てましょう。汚れた床や家具、衣類、調理器具などもしっかり消毒しましょう。
●体調管理
ウイルスに対する抵抗力をつけるために、日ごろから適度な運動を行い、栄養や睡眠を十分に取って体調を管理しましょう。
<食生活のポイント>
食中毒を防ぐためには、ウイルスに対する抵抗力、免疫力をアップさせる食生活を心掛けましょう。
・ヨーグルト、オリゴ糖など腸内の善玉菌を増やす食品を積極的に取り、腸内環境を整えましょう。
・抗菌作用のあるハーブ、薬味、野菜などを上手に利用しましょう。
・たまねぎ、梅干しなどの殺菌、解毒作用のある食品を取りましょう。
・1日3回の食事をバランスよく食べましょう。
「健康管理士一般指導員」メルマガ記事より
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