引き続き流行中の「インフルエンザ」。予防に努めている人も少なくないですが、中には間違った方法を日課にしている人もいる様子。
そこで、前編で「インフルエンザの正しい知識」について伺った「池袋大谷クリニック」院長で医学博士の大谷義夫先生に、引き続き「インフルエンザの効果的な予防法」についてお聞きしました。
■マスクの着け方と取り扱いが、予防効果を大きく分ける
――インフルエンザの予防は、よく「うがい、手洗い、マスク」といわれますが、これは正しいでしょうか?
大谷義夫医師(以下、大谷)「インフルエンザは飛沫感染と接触感染が主な感染ルートなので、手洗いやマスクは有効です。
基本は手洗い。しっかり泡立てた石鹸で30秒ほどかけて手を洗ってください。タオルは各自に用意して、家族であっても共有しないでくださいね。使い捨て出来るペーパータオルもおすすめです。マスクも正しく装着していれば効果的なのですが、間違っていると予防効果は薄れてしまいます」
――「正しいマスクの着け方」を教えてください。
大谷「まず、上辺のワイヤーを鼻にぴったりとフィットさせてください。次に、ワイヤー部を指で抑えたままヒモを両耳にかけ、マスクのヒダを広げてアゴの下まで覆います。四辺すべてが肌に密着するように調整し、すき間がなければきちんと着けられています」
――マスクが大きければ、広い部分を覆えるので良いと思っていました。これは間違いですか?
大谷「インフルエンザウィルスは0.1マイクロととても微小。マスクが顔のサイズに合っていないとすき間ができて、ウィルスが侵入しやすくなるので、『大きいほどいい』ということはありません。きちんとフィットするサイズを選んでください」
――そんなに小さいなら、マスクの繊維を通り抜けてしまわないのでしょうか?
大谷「その可能性は十分あります。ただ、インフルエンザは空気感染しないので、例えマスクを通り抜けても感染にはつながりません。咳やくしゃみによる飛沫には感染リスクがありますが、マスクをきちんと装着できていれば表面でカットできるので大丈夫です。
とはいえ、マスク表面に着いたウィルスから接触感染を起こす可能性があるので、マスクの表面に触れないように気をつけてください」
――マスクの種類でおすすめのタイプなどはありますか?
大谷「最強は羽生結弦さんのマスク(※)です。ただ、2万円近くするので現実的ではないですよね(笑)。一般的に考えると、こまめに交換できる使い捨てタイプがおすすめです。なお、紐を小指で引っ掛けて耳から外し、そのままゴミ箱へ捨てれば、マスクの表面に触れることなく処分できます。
たまに『もったいないから』と、長時間使用したり、一度外したマスクを再び使ったりするかたがいますが、汚染されたマスクを着けることになるし、接触感染のリスクも高まるので、長時間の使用や再使用は避けてくださいね」
(※羽生結弦選手が使っていたとされる高級マスク。マスクと顔の間に隙間がほとんどできない構造らしい)
■インフルエンザに水うがいは効果ナシ!?
――うがいはいかがですか?
大谷「水うがいに関しては、ここ数年で『インフルエンザウィルスに効果的ではない』とされました。インフルエンザウィルスは早期に気道内に侵入するため、20〜30分おきにうがいできる環境でない限り、意味をなさないというのが理由です」
――ヨード成分の入った「うがい薬」などを用いたらどうでしょうか?
大谷「喉に違和感があるなど症状の出ている時は効果がありますが、予防として使うと、正常な菌まで殺してしまって逆効果になることがあります」
――では、うがいをしても意味がないのでしょうか?
大谷「風邪に対してですが、『ヨード液うがい、水うがい、何もしない』でそれぞれ予防効果を比較したところ、水うがいがもっとも効果的だったとの研究データが公表されています。水うがいはインフルエンザ予防には効果がありませんが、風邪予防には効果的なので、したほうがいいです。
――インフルエンザ予防に効果的なうがい方法はありませんか?
大谷「お茶に含まれるカテキンの殺菌作用がインフルエンザウィルスに有効との研究結果が出ているため、お茶でのうがいは効果があるという説もあります。とはいえ、こまめにうがいをするのはなかなか難しいので、私は10分おきくらいにお茶を飲むようにしています。
カテキンの作用ももちろんですが、喉が潤うことで繊毛の活動がスムーズになってウィルスを排出しやすくなったり、ウィルスがお茶と一緒に胃に入って胃酸で死んだりと、発症を防ぐメリットも得られますよ」
■家庭内感染のリスクを下げるポイントは「2メートル」
――家族にインフルエンザ患者がいる場合、どうすれば感染を防げますか?
大谷「いちばんは患者を隔離することですが、なかなかそうはいきませんよね。そのため、患者も家族もマスクを着用し、不必要に近づかないようにしましょう。2メートルほど距離を取っていれば、咳やくしゃみからの飛沫感染をかなり防げます。
あとは前述の通り、こまめに手を洗い、タオルやマスクなどからの接触感染にも気をつけてくださいね。アルコールは接触感染のリスクを下げてくれるので、手荒れの心配がないかたなら、こまめに消毒するのもいいでしょう」
――日常的にできるインフルエンザ予防法はありますか?
大谷「インフルエンザウィルスは乾燥すると活発になるので、湿度は常に50〜60%に保っておきましょう。また、こまめに水分補給をしたり、飴やガムなどで唾液を出したりして喉の乾燥を防ぐと、喉の免疫力が高まります。
ビタミンDはインフルエンザに対する免疫力を高めてくれるので、毎日30分ほど日光を浴びたり、マイタケや魚、ヨーグルトなどを意識的に摂取するのもおすすめです。
あと、口腔内細菌が出すたんぱくが、気道に入ったインフルエンザウィルスの増殖を助けるため、口腔ケアをしっかりおこなって、口腔内細菌を減らすことも大切です」
いかがでしたか? インフルエンザ対策、意外とカン違いしていた人も多かったのではないでしょうか。インフルエンザの流行期間は4月までと言われています。正しい予防方法で、この時期を乗り切りましょう。
「Pachy」より
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