激しいせきがしつこく続く百日ぜき。これまでは、乳幼児を中心とした子どもの病気と考えられていましたが、最近は大学生の集団感染をはじめ、大人の感染例が急増しています。
■感染に気づかないまま学校や職場で流行させてしまう
国立感染症研究所感染症情報センターの調べでは、患者数そのものの増加もさることながら、大人の占める割合が年々大きくなり、全体の4割近くを占めています。
大人の場合、百日ぜきにかかっても、せきが長引く程度で、かぜだと思って見過ごしてしまうこともあります。ところが、百日ぜき菌はせきやくしゃみの飛沫(しぶき)を介して感染(飛沫感染=ひまつかんせん)し、しかも感染力が非常に強いため、本人が感染に気づかないまま、ほかの人にうつしてしまう恐れがあるのです。
例えば、人の大勢集まる場所では、せきやくしゃみによって菌がばらまかれると、一気に多くの人にうつってしまいます。それが、職場や学校だったら、同じ職場で働く人や学校で机を並べている人たちにも感染してしまいます。大学での集団感染はその一例です。家庭では、親から子にうつしてしまう恐れもあります。
本人の症状は軽くても、感染に気づかないまま流行を拡大させてしまう恐れがあることが、いちばんの問題です。
■大人は軽症でも、乳児は肺炎や脳症を起こすことも
百日ぜきは、「コンコン」という短いせきが続いたあと、「ヒュー」という笛のような音をたてて息を吸い込む発作を起こすのが特徴です。百日ぜき菌に感染すると、1〜2週間の潜伏期間のあと、くしゃみや涙が出るなどかぜのような症状から、次第にせきがひどくなり、前述のような発作をくり返します。昔は2〜3カ月もせきがとれなかったことから、百日ぜきと呼ばれるようになりました。
大人の場合は百日ぜきにかかっても、せきがしつこく続く程度で、それほど重症になることはないため、発症に気づかないケースも珍しくありません。ところが、子どもは激しいせきで体力を消耗しやすく、ときには命にかかわることもあります。
1歳以下の子ども、特に生後6カ月以下の場合は、百日ぜき特有の症状がみられないまま、突然、肺炎や脳症などの合併症を起こしたり、無呼吸発作から呼吸停止に至ることもあります。こうした重症例のなかには、手足のまひなどの後遺症が残ったり、死亡する例もあります。
赤ちゃんは、お母さんのおなかの中にいるときにさまざまな抗体をもらっているため、かぜなどにはしばらくかからないものの、百日ぜき菌に対する抗体はほとんどもらえません。つまり、百日ぜきに対しては無防備な状態なのです。もし、身近に百日ぜきの感染者がいたら、赤ちゃんにも感染してしまいます。
■乳幼児は予防接種。大人はせきが1週間以上続いたら受診を
乳幼児にとって百日ぜきの予防には、ワクチンの接種が必要です。生後3カ月になったら、なるべく早期に三種混合ワクチン(百日ぜき、ジフテリア、破傷風)の接種がすすめられます。
三種混合ワクチンは、基本的には、第1期として生後3〜90カ月(標準的には生後3〜12カ月)の間に3回(3〜8週おきに)、その12〜18カ月後に追加接種します。さらに第2期として、11〜12歳に、百日ぜき以外の二種混合ワクチンを接種します。こうしたワクチン接種によって、最近では6歳未満の百日ぜきの患者の割合は、3割程度に抑えられています。
ただし、ワクチンの効果は、年月がたつにつれて減少します。また、昔に比べて患者が減っているため、菌に接して免疫力を高める機会がなくなっていることも加わって、大人の感染者が増えていると考えられています。
大人は、感染しても軽症ですみますが、怖いのは気づかないまま感染源となって感染を拡大させてしまい、職場や学校などで広がり、ワクチンを接種していない乳児に感染したりすることです。もし、せきが1週間以上続く場合は放置せず、感染を疑って受診することが大切です。感染初期ならば、抗菌薬がよく効きます。大人がうつさないことが肝心なのです。
(「すこやかファミリー」法研より)
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