冬の季節、起こりやすい手荒れ。ささくれ立ったり、ガサガサと荒れた手は見た目が気になるだけでなく、かゆみが出たり、家事が辛くなるなど日常生活への支障も大きいものです。
■冬に手荒れするのはなぜ
冬になると、手荒れが気になる人も多いのではないでしょうか。1年のうちでも、冬は手荒れが起こりやすい季節です。その原因としては、寒くなると血行が悪くなって皮膚の新陳代謝が低下したり、汗をかく機会が減ることで、汗と皮脂が混ざり合って出来る天然の保湿クリームともいうべき皮脂膜が作られにくくなることが挙げられます。
皮脂膜には皮膚を保護する役目があるため、皮脂膜が減ることで、外部からの刺激を受けやすくなって手荒れが生じてしまうのです。
さらには、「洗剤かぶれ」という言葉があるように、ひんぱんに水仕事や洗剤などの刺激にさらされると皮脂膜が洗い流されてしまい、はがれて手荒れの悪化につながります。家事をする人や、職業的には美容師などが手荒れをしやすいのはそのせいです。
手荒れ防止には水や洗剤に触れなければいいのですが、毎日の家事を考えるとそれも現実的ではありません。そこで今回は、美容師が実際に行っている手荒れ対策についてお話します。
■手荒れにも個人差がある?
一般的に美容師は、お湯やシャンプー、パーマ液、染毛剤などに触れる機会が多く、手荒れは職業病といっても過言ではありません。実際に美容師は手荒れに悩む人が多いと言います。
シャンプーの回数一つとっても、美容師になりたての人は、1時間に何人ものお客にシャンプーをして、それが営業時間中ひっきりなしに続いたりします。
シャンプーをする回数が増えるほど、刺激物質に接触する機会が増えて手荒れのリスクも高くなります。乾燥、かゆみから始まって、ひび割れにも悩まされます。シャンプーでパーマ液や染毛剤を流すと傷口にしみこんで、痛みが走ります。
ただ、同じように作業をしていても手荒れの状態には個人差があるそうで、女性より男性の方が手荒れに悩む人が多いようです。それは男性は女性に比べ、こまめにケアをしない人が多いからではないでしょうか。手荒れ対策には、予防と、悪化させないためのケアが必須なのです。
■こまめなスキンケアを習慣に
ひんぱんにお湯や洗剤に触れながら、キレイな手を保つにはどうすればよいのでしょうか。具体的な対策といっても、コレといった秘策はありません。大切なのはとにかく、こまめに肌をケアすること。付着した水分はしっかり拭き取り、クリームなどで皮膚表面に保護膜を作って、刺激から皮膚を守るようにしましょう。
美容師の中には、体質なども影響して手荒れが悪化し、仕事を続けられなくなる人もいるそうです。したがって美容師を続けるために、とにかく予防をしっかりするそうです。私たちも風邪をひかないよう気をつけるのと同じように、手荒れをしないように心がけましょう。
■手荒れ予防のスキンケア
●手の甲、手の平だけでなく、指の股まで注意して洗う(指の股にパーマ液が残っていて、洗い残しに気づくことが多い)
●肌に水が付いたまま放置しない(やわらかいタオルを使って、慌ただしいときでもていねいに水気を拭き取る)
●こまめにハンドクリームを塗る(時間を見つけてはクリームを塗り、常に皮膚を油分で保護しておく)
●ハンドクリームは指先から手首、さらに肘の方まで塗る(お湯などは、肘の方までかかってしまうことが多い)
●より皮脂膜を奪いやすいお湯より、できるだけ水を使う(仕事でお湯を使うため、自宅で家事をするときはできる限り水を使う)
※美容師の場合、頭皮や毛髪に触れる感覚が鈍くなるためゴム手袋をしない人も多いが、一般家庭では家事用手袋を使うのもおすすめ
これらの対策は、手荒れに気づいてからでなく、まだ皮膚が健康なときから習慣づけることが大切です。ちょっと面倒に感じるかもしれませんが、こうしたケアをするとしないとでは、皮膚の状態が違ってくるのです。
■手荒れの症状には、早めに適切な対処を
すでに手荒れに悩んでいる人の場合は、少しでも早く対策を講じることが重要です。湿疹やかゆみの症状は、市販のステロイド外用剤で症状が改善できます。症状に気づいたら、なるべく早いうちに強い抗炎症作用を持ったステロイド外用剤を塗って、イッキに治すようにしましょう。
手荒れを放置し、乾燥やかゆみから皮膚をかいていると、皮膚がジュクジュクとただれたり、化膿して細菌が増殖する恐れもあります。
症状が悪化し、患部が化膿してしまった場合には、優れた抗炎症作用があり、かつ細菌の増殖を抑えることができる抗生物質配合ステロイド外用剤を用いて、適切な処置を行いましょう。ただし、症状が重かったり、症状が長引く場合には、いったんステロイド外用剤の使用を中断し、医療機関を受診するようにしましょう。
「美容師の仕事と家庭の家事は、似ていると思います。忙しい中、作業効率や仕上がりを優先すると、どうしても手荒れ対策はおろそかになりがちです。だからこそ、限られた時間の中で、こまめなケアを習慣づけることが大切です。
「All About」記事より
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