疲れ気味の人は「クエン酸」が不足している、という話はよく耳にしますね。実はクエン酸には疲労回復だけでなく、健康維持やダイエットにも重要な役割があるのです。
クエン酸は、クエン酸回路（＝TCA回路/クエン酸サイクル）と呼ばれる代謝経路の１つを活性化させると言われています。TCAとは、クエン酸（Tri-Carboxylic Acid）の頭文字です。食物から摂取された栄養素（炭水化物・脂質・たんぱく質）はクエン酸などの８〜９種類の酸に分解され、その分解過程でエネルギーが生産されますが、クエン酸は、このエネルギー回路を回すための着火材のような働きをしています。したがってエネルギー生産工場とも言えるクエン酸回路が活性化していれば、どんどんエネルギーが作り出され、疲れにくく代謝も活発になります。 クエン酸自体がTCA回路の中で産生されているともいわれています。
その他、クエン酸にはキレート作用（ミネラルなどの吸収を助ける）や、体をアルカリ性に保つ働きもあると言われます。
クエン酸はTCA回路の中で、次々と変化をくり返し、その過程でエネルギーがつくりだされますが、実はこのTCA回路が機能するためには酸素が不可欠なのです。
酸素が不足すると、TCA回路のはたらきが低下し、ピルビン酸から、疲労物質の乳酸がつくられてしまいます。これが肩こりなど疲労の原因になるのです。
細胞内の酸素不足は、運動不足や精神的なストレス、酒やタバコ、寝不足などによって引きおこされますので、疲れている人は、酸素不足で体内のクエン酸が減っている可能性がありそうです。
■酸素が不足すると体はどうなるのか？
<成人男性・女性>…疲れやすい、だるい、やせにくい、冷え性、肩こり
<スポーツマン>…持久力低下、疲労回復が遅い、動きが鈍くなる
<子ども>…記憶力低下、イライラする、飽きっぽい、落ち着きがない
<高齢者>…身体機能低下、脳障害の危険性、物忘れや認知症の危険性
※酸素不足はすべての病気の原因といわれていますが、このTCA回路への影響もその１つであるといえるでしょう。酸素不足にならないようにして、上手にクエン酸を補給しましょう。