「トマトが赤くなると、医者が青くなる」という西洋のことわざ、知ってますか？これは、“いかにトマトの栄養価が高いか”を比喩したことわざなのです。
■カロチノイドの一種・リコピン
トマトには、私たちの体の役に立つ、ビタミンCやB6、カリウム、クエン酸などが含まれていて、健康維持において非常に魅力的な緑黄色野菜です。最も注目すべき成分は、カロチノイドの一種・リコピンです。（ちなみに、トマトのカロチノイド含有量は100g中、600ugといわれています。その量は、にんじんと比較して少ないのですが、ビタミンAの供給源に十分な緑黄色野菜として分類されています。）このリコピンは、実は、研究者の間で「ガンを予防できるのではないか？！」と注目を浴びる成分なんです。
■リコピンの特徴的な抗酸化作用に注目！
カロチノイドは、現在600以上の種類が発見されている動植物系の色素ですが、リコピンはトマトの赤色成分として、よく知られた成分です。また、トマトの他にも、柿やスイカなどにも含まれています。
リコピンの特徴として、注目したいのは、その“抗酸化作用の高さ”です。高い抗酸化作用で注目を浴びる、同じカロチノイドの一種・βカロチンの2倍もの力がある、といわれています。
また、リコピンの持つ抗酸化作用は特徴的です。リコピンは、特に「一重項酸素」という活性酸素の一種を除去する作用が強いことが認められているため、ガンの予防に大きな期待が持たれているのです。
■期待されるガン抑制効果！
リコピンの抗ガン作用は、アメリカにおいて30年以上前に行われた大規模な調査により、徐々に明らかになってきました。その調査では、膵臓ガン、膀胱ガンなど、数種類のガンへの作用が認められ、その後、研究者たちの間で数多くの研究結果が報告されています。
例えば、肝発ガン抑制についての研究では、マウスを使った実験が行われました。まず、人工的に肝発ガンを煩わせたマウスにリコピンを投与し、肝臓腫瘍数を調べました。結果、リコピンを投与しないマウスに比べ、顕著なまでに肝臓腫瘍数が少なくなりました。また、膀胱ガンに関しても同様の実験を行い、こちらも、リコピンを投与した場合の方が、腫瘍が少なかった、という報告も残されています。（参考：西野 輔翼/フレデリック・カチック 共著「なぜマルチカロチンがガンを抑制するのか」）
しかし、リコピンをはじめとする、カロチノイド成分は、過剰摂取により、体調を崩したり、逆に病気を誘発させてしまったりすることも示唆されています。
ガンの抑制効果に関しては、現在も実験が続けられている段階です。上記のように、適量を用いることで、ガン抑制の期待が持てるリコピン。ガン患者が急増している現代においては、今後の研究に大きな期待が寄せられています。
■目の疾病にも大きな役割？！
「リコピンはガンを予防する」ということ以外の研究報告もあります。それは、リコピンは、『活性酸素が原因となる目の疾病にも作用し、視覚の維持に貢献する』といった内容が発表されています。
前回のカロチノイドシリーズでは、ルテインを特集しましたが、その報告では、リコピンはそのルテインと相互的に作用し、目の健康を促すとされています。
■トマトジュースにも注目！
さて、リコピンの摂取方法には、生野菜でとる、野菜の加工品でとる、サプリメントでとるなど、様々な方法がありますが、以下のような報告もされています。
アメリカで開催された「トマト食品の役割と疾病予防」という国際シンポジウムの中で、“環境汚染物質によって引き起こされた肺疾患”にも効果がある、という研究報告があり、その中では、トマトジュース摂取によって症状の改善が見られた、との発表がありました。
それによると、『ビタミンC・Eに加え、1日12オンス（およそ360ml）のトマトジュースをとった場合、2週間ほどで、肺におけるリコピンレベルが12％増加、活性酸素による肺細胞DNAへのダメージが20％減少。』とのこと。
トマトジュースは飲むだけで手軽にリコピンが豊富に摂れるので、習慣的に続けるには良いですね。しかし、リコピンを他のカロチノイドとバランスよく摂取するには、やはり「マルチカロチン」というサプリメントの形での摂取をオススメします。
リコピンのガン抑制効果は、現在、まだ研究段階であり、「確実に立証されている」というわけではありません。しかし、毎日の野菜に意識的にトマトを取り入れたり、夏に一番栄養価が高くなる旬のトマトのエキスで出来たトマトジュースを飲んでみたり、また「マルチカロチン」という形のサプリメントで適度にリコピンを摂取することで、健康的な生活をおくるための、プラス材料となってくれることでしょう！
「All About」記事より
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